アメリカのプロレス雑誌『プロレスリング・イラストレーテッド』が毎年発表している、その年のプロレスラーベスト500を決めるランキング『PWI 500』
今年一位を獲得したのは、AEW・インパクト・AAAの世界王座三冠王を達成したケニー・オメガでした!
2018年以来、ケニーの一位獲得はこれで2度目となります。
そんなケニー・オメガですが、プロレスリング・イラストレーテッドのポッドキャストに出演し、一位を獲得した心境を語りました。
https://www.podbean.com/media/share/pb-ski6q-10d5a7e
今回は後編となります。
前編はこちらから
中編はこちらから
インタビュアー:以前のインタビューで、肉体的なピークやキャリア最高の年はもう過ぎたかもしれないと語ってましたね。
今回のPWI一位は、自分自身のパフォーマンスへの評価は抜きにしても三つの団体の最高王座の三冠王に輝いたことが要因の一つだと思います。
あなたが次に成し遂げたいことは何ですか?
ケニー:よい質問だね。もしこの質問を一年前にされても、今の自分の姿を言葉で表現できなかったと思う。
過去の俺は『うーん、実は世界中を回って各団体のベルトコレクターになろうと思っているんだ!』なんて決して言わなかっただろうね(笑)
棚からぼたもちみたいなものさ。
俺の目標はいつだって、プロレスとプロレスファンを結びつけることなんだ。
プロレスのコミュニティは時に有害になりえることがある。スポーツ、ゲーム、音楽、映画でも、ファン同士が激しく対立しているのを見るのは本当に心苦しい。
人々はどちらかの側を選ばなければいけないと感じ、いったんその側を選ぶと、全身全霊をかけてその側を守らなければならないと感じてしまうんだ。
プロレスはNHLじゃない。NBAやNFLでもない。同じリーグで戦いあっているチーム戦ではないのにね。
俺たちプロレスラーはみんな、どんな団体に所属しているかやどの会社の為に働いてるかということは関係なしに、自分たちのことを家族のように思いあっている。
俺にはAEWだけでなく、新日本にも、インパクトにも、それにWWEにも友達がいる。おかしいと言う人もいるかもしれないけどね。友人たちにはとにかく成功を掴んでほしいと思っている。
俺のファンには、彼らに悪意や危害を加えたり、死んでほしいだなんて決して思ってほしくはないし、その逆もあって欲しくはない。
『私は世界平和を願っています』って声明を出すようなものだし、どうやってそれを達成したら良いと思う?って聞かれたら正直不可能に近いだろうね。
とてもナイーブな問題だ。非現実的だと思われるかもしれないが、俺はそれを目指すことを無駄な努力とは思わない。少しずつそのための一歩を踏み出していこうと思っている。
そして、すべての会社とトップタレントが一緒に働けるより良いプロレスの世界があることを知ってくれるファンが少しずつ、ゆっくりと、だが確実に増えていけば、もしかしたら現実にできるんじゃないかな。
もしかしたら俺が引退した後…いや俺が死んだ後かもしれないけど、年に一度世界中のレスラーが協力し合って素晴らしいスーパーショーを開催して、そこで世界の名だたる選手たちがやりたいことをやっている姿を見せて、プロレスの美しさや芸術性を知らしめるような未来がやってくるかもしれないね。
そこにはあらゆるスタイルのプロレスが盛り込まれると思うけど、俺がルチャ・リブレスタイルの試合に手を出したのもそこに理由がある。デスマッチのような挑戦的なことをしたのもそのためだ。
俺にそんなスタイルを期待していない人もいるだろう。
だが、俺はプロレスの背景には芸術に近い形があって、そこには美学があって、ストーリーを語れるものなんだと示したい。
そして、みんなが全てのものを受け入れられて、その中に感謝の気持ちを見いだせるような世界を作り上げたいね。
例えばビートルズのファンであれば、『ビートルズは大好きだけど、ビートルズが好きだからこそメタリカは史上最悪のバンドだと思う。音楽界の恥さらしだ』というような状況だね。そんなの俺たちレスラーが望んでいる環境じゃないよ。
正直俺には意味がわからないし今も困惑してる。ただこんな態度がプロレス業界に続いているのは事実なんだ。
希望の光も見えていると思うんだ。俺のコミュニティの中に、こういったビジョンを持ち、それを信じている人々も多い。徐々にではあるが、ファンのみんなもそれに賛同してくれていると思う。もちろん、一方的に全力でサポートしてくれる人もいれば、全否定する人もいるだろうね。
今は別にそれでいいんだ。だが、みんなの考えを変えるために俺はこれからも全力を尽くす。それが俺の計画。それがこれからの俺の計画だ。
どんなことが起こるか分からないし、それが今から来年までの俺の未来をどう変えていくかは分からない。もしかしたら、俺をフィーチャーしたものではないかもしれないね。俺にそれを実現するだけの器もないかもしれない。
それでも、できる限り最善の方法でそれを実現するために、俺は自分の役割を果たしていくよ。
インタビュアー:禁断の扉が開かれつつあります。ただ、ゴールデン☆ラヴァーズ…飯伏幸太とタッグを組んだり、戦ったり、何かしらで絡んだり、そういった機会はもう見納めなのでしょうか?
ケニー:それはない…それはないよ。
もし俺が賭け事をする人間なら、こんな安全な選択肢はないって言うだろうね。…リアルな人生が関わっていて、プロレスのリングで起こっている事を超えている出来事だ。
時がたつにつれて、団体やファンは、プロレスに何を求めているのかについて、今まで以上に耳を傾け、今まで以上に期待に応えようとしている。
近頃「禁断の扉」という言葉がよく使われているね。あるプロモーションでプロレスをやっていたら、他のプロモーションと交流はすることは有り得ないという概念だ。
少しずつ、だが確実にその境界線は消えようとしている。
インパクトの選手がAEWに出場したり、新日本の選手がAEWに出場することもあった。AEWの選手が他の団体に出場したことだってあっただろう?
未来がどうなるかは誰にもわからない。今後もスペシャルゲストやサプライズがあるかもしれないよ。
俺は『ストーリーテラー』なんだ。プロレスが好きというよりも、ストーリーを語ることの方が好きなんだ。結末のあるストーリー、つまり、起承転結のあるストーリーが大好きなんだよ。
俺にはまだ最終章を迎えていないストーリーがたくさんある。
飯伏とのストーリーはまだ終わってないよ。
身体が動く限り、その本の最終章を書き上げたいと思ってる。もちろん他のストーリーもちゃんと完結させるつもりさ。
自分の書き上げた本を読み返した時に、俺のヘンテコな頭の中で考えたストーリーにちゃんと起承転結があることを誇りに思い、最後には幸せな気持ちで読み終えられるようにしたいんだ。
飯伏のようにあらゆる面で俺のキャリアに影響を与えた人物とのストーリーが完結しないなんてことは、絶対にあってはならない。
だから…いったいどうなるだろうね?
インタビュアー:ありがとうケニー。最後に、このポッドキャストを聞いている人やPWIの読者に向けて何かメッセージを貰えるかな?
ケニー:このポッドキャストを聞いてる人や、雑誌を購入してくれた人へ。いつも俺たちの活動のサポートをしてくれてありがとう。
もし、俺の一位にしっくりこないようだったら…プロレスをサポートすることを強くお勧めするよ。
俺は色々な点でベストではなかったと感じている。特定の分野ではそうだったかもしれないし、特定の人々にとってもそうだったかもしれない。
ただ、もし君にとってのベストが他のレスラーで、そのレスラーが君にとってのナンバーワンなのであれば…それは本当に素晴らしいことだと思う。
とにかく、プロレスを応援している人たちの応援をこれからもよろしく頼む。俺は、こういった雑誌メディアやポッドキャストの存在が、世界のプロレスを広めるのに役立っていることがとても嬉しいんだ。
繰り返しになるが、プロレスに国境はないんだから。
PWIは、そのすべてカバーしている。俺が立ちたい世界の一部に近いような気がするね。このような機会を与えてくれて本当にありがとう。そしてファンの皆さんにも心から感謝を述べたい。
インタビューの翻訳は以上となります
このインタビューの翻訳を通して、
なぜ自分がケニー・オメガというレスラーに惹かれたのか
なぜケニー・オメガを追いかけ続けようと思ったのか
なんでこんなにもケニー・オメガのPWI一位獲得が嬉しいのか
これらの答えを再認識した気がします
ケニーが夢として掲げる
『世界中の選手が集ったスーパーショー』
が実現する日を信じて
ケニー・オメガが“Change The World”を続ける姿を、これからも1ファンとして追いかけていきたいと思います!