ケニー・オメガ、2021年PWI1位を語る(中編)〜今年最も印象に残ったシーン、自身のプロレス観について〜

アメリカのプロレス雑誌『プロレスリング・イラストレーテッド』が毎年発表している、その年のプロレスラーベスト500を決めるランキング『PWI 500』

今年一位を獲得したのは、AEW・インパクト・AAAの世界王座三冠王を達成したケニー・オメガでした!2018年以来、ケニーの一位獲得はこれで2度目となります。

そんなケニー・オメガですが、プロレスリング・イラストレーテッドのポッドキャストに出演し、一位を獲得した心境を語りました。

https://www.podbean.com/media/share/pb-ski6q-10d5a7e

今回は中編となります。
前編はこちらからどうぞ。

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​インタビュアー:もし、今年印象に残っていることを一つ二つピックアップするならどんなことを上げるかな?

ケニー:見どころ満載の一年だったけれども、特に印象に残っているものを挙げるなら何だろう。

現代のプロレスファンにとっては型破りに思えるユニークな挑戦を色々としてきたが、俺にとっては電流爆破デスマッチがそれにあたるかな。

とても大きな挑戦だったと思う。最後の爆発が失敗した後に、それにどう対処すべきかということも含めて大きな課題となったよ。

(※注 ケニーとモクスリーによって行われた電流爆破デスマッチですが、クライマックスのシーンにおける大爆発のシーンの演出を失敗してしまい、悪い意味で歴史に残るものとなってしまいしました)

参考動画:
https://www.youtube.com/watch?v=8-sFFaFy1zI

初めて映画のような試合を見せられたという意味ではスタジアム・スタンピードマッチも大きな挑戦だった。

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人々は「この試合はきっとこういう感じになるだろう」とそれぞれ期待を馳せる。その期待とは全く異なるユニークなものを提供して、かつ失望させずに楽しませるにはどうしたらいいか。

俺はいつもプロレスの試合を見たことがない人の目線で物事を考えるんだ。

初めてプロレスを見る人にも、また他のスポーツに精通している人にも、俺たちがやっていることを見た時に、非常に身体能力を求められることをやってのけていると認識してもらいたい。

また同じように、ドラマや映画や漫画などを好む人たちがプロレスを見た時に、普段その人が見たり読んだりしているものと同じように

『これ面白いじゃん!』『自分が今まで好きだったものと同じぐらい好きかも!』『週一か月一のペースで見ているエンターテイメントのラインナップに加えよう!』

と思ってもらいたいんだ。

なぜなら、ごく少数のコアなレスリングファンにしかアピールできないような試合やストーリーを見せた時点で、新しいファンを獲得する機会を失ってしまう。人々の心を揺さぶる機会を失ってしまう。

深く感情を揺さぶる物語を語ること、あるいはみんながプロレスで見慣れているものとは異なった感情を少しでも引き出すことは、俺が特に重要としていることなんだ。

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俺がいつも心がけている事、最も重要としているのは、ファンがバッドガイにブーイングを送ったり、グッドガイに歓声を起こす以上の物事を自身が表現する物語で引き起こす事だ。

もし準備期間が数週間あったとしても、もしくはたった一試合の瞬間にしか物語を伝えられなかったとしても、その試合でできる限りファンの様々な感情を引き出したいね。

可能な限りファンには幸せな気持ちになって欲しいし悲しみの感情も持ってほしい。できれば、感動的な気持ちになって欲しいとも思っている。

なぜかというと、どのショーでも平均5試合か6試合、PPVでは平均10~12試合を見ることになる。

もし、レスラーとしての目標が誰かに歓声やブーイングを起こさせることだけだとしたら、それは他の人たちが目指していることをただやっているだけだ。

そこが、トップレベルのアスリートやトップレベルのプロレスラーと、普通のプロレスラーと分ける大きな違いだと思うんだ。
プロレスのカードにはすべてに与えられた役割があるから常にそうしなければならないと言いたいわけではないよ。

でも、メインイベントに出場する機会が多い俺にとっては、長期間因縁が構築されるメインイベントには様々な感情を引き出す責任があると感じているんだ。

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試合の目的と試合の意味についてはいつも明確にして、誰にでも理解できるようにしたいと思ってる。

その試合の流れを最初から追っている人でも、初めて見る人でも、たとえその人が小さな子供だったとしてもね。とにかくシンプルにこの試合の目的を理解してもらいたいんだ。

俺が好きなのは、現在進行している試合の中に何年もの歴史をもつストーリーや、それを想起させるようなイースターエッグを盛り込むことだね。

Twitterのタイムラインを見ている時、
試合中に細心の注意を払って配置した当時を彷彿とさせる要素をファンが認識してくれて、それをつなぎ合わせて、場合によっては俺が意図した以上の意味を持たせてくれているのを見ると、本当にうれしくなるんだ。
ただ「そこまでは考えてなかったよ…でも(気付いてくれて)ありがとう!」って時もあったけどね(笑)

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ファンを遠ざけたり、混乱させるのは避けたいとは思っている。

でも、ファンが目の前の試合に深い意味を見出せるものを探すという選択肢を用意することを気に入っているんだ。

それがプロレスの神話性を高めたり、俺の旅を追いかけるのが普通よりもちょっとでも楽しくなるためのスパイスになるべきだと思っているよ。

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