2021年度レスリング・オブザーバー・アワードMVPを獲得したケニー・オメガ。
現在負傷により長期欠場中のケニーですが、先日レスリング・オブザーバーのインタビューに応えました!
現在の自身の体調や、現在開発中のAEWのゲームについて、復帰した後に戦いたい相手、そしてつい先日AEWを退団したコーディについて心境を語ってくれています。
非常に長いインタビューだったので前編・中編・後編に分割!
後編は、AEW旗揚げメンバーであり副社長だったコーディ・ローデスの退団と、自身の引退後のキャリアについて語った部分について
コーディの退団についてケニーはいったい何を思ったのか?
そして、ケニーが思い描くプロレスラーを引退した後のビジョンとは?
インタビュー中編はこちら
それでは、いってみましょー!
コーディの退団について
(コーディのAEW退団について)みんなショックを受けてたよ。
プロレスにおいては…俺たちはみんな自分の契約がいつ終わるか知っている。
特にEVP(副社長)はみんなの契約がいつ終わるかを知っているしね。
特にバックスだが、彼らは契約延長のオプションがいつ発生するかも把握しているんだ。
ちなみに俺はそういった交渉はしていないし、ストレートに来年で契約が満了する。
だから、再契約が必要となるしそういったオプションもない。
AEWとコーディの再交渉が難航しているとか、そういう話を聞くこともあったよ。
ただ、退団なんて方向に進むとは、正直思ってもみなかった。
AEWが始まったとき、俺たちの中でも革命について最も情熱的な人物は彼だった。
「Us versus Them(※AEW vs WWE)」というメンタリティを作ることに最も情熱を注いでいたのはコーディだった。
だから、彼が退団という選択肢を選んだことは本当に不思議な感覚だよ。
しかし、そうは言っても気持ちは変わるものさ。
周りの環境は常に変化している。
自分が探していたミッション・ステートメントや目標、革命、あるいは創造しようとしていたものが、もしかしたら、もはや自分にとってそういうものではなくなってしまうこともある。
もしかしたら、それがインスピレーションにも、毎日ベッドから出る活力にもならなくなってしまうこともある。
だから俺は、プロレスでも人生でも、もし仕事が充実していないし幸せを感じないのなら、他の場所で創造的な自由を感じられる機会を探すべきだと勧めているんだ。
自分の仕事がクリエイティブに評価され、満たされていると感じられる場所にね。
俺はコーディの事をよく知っているが、今回の退団はお金の問題じゃないと思う。
コーディがAEWに心血を注ぎたいと思えるだけの金をトニーが用意しなかった事が理由だとは思わない。
コーディは自分がAEWにもたらしたビジョン、そしてAEWがプロモーションとなった当初に自分がチームがもたらしたビジョンを本当に信じていたんだ。
俺たちは楽観的に考えていた。
メジャーなプロモーションとみなされるようになり、ファンベースができ、できれば多くのお客さんが満足して俺たちの生み出したものを見てくれるようになると思っていたんだ。
でも今思うと「プロレスを変えるチャンスがあるんだけどどう思う?君はどう思う?どうすればうまくいくだろうか?」なんて事を彼と腰を据えてじっくり話し合った事はなかったかもしれない。
きっとバックスのビジョン、俺のビジョン、コーディのビジョンがそれぞれの考えがあったが、全員のビジョンは互いに異なるものだったんだろうね。
業界や会社のために人生を注いでいた時、誰かに『君はずっとこの業界で活躍してきたが今まで手枷や足枷をつけられた状態だった。
今その枷は解き放たれていて、その手には君が思うがままにやれる権利が握られている。さぁ、君は何がしたい』と言われるんだ。
そう期待されていたのに、結局その努力が実を結ばなかったとしたらきっと心に大きな傷を負うことだろう。俺にはその気持ちがよく分かる。
繰り返しになるけれど、俺とコーディの仕事上の関係は素晴らしいものだった。
ただ、プライベートで一緒にダイエットペプシを飲みに行くような関係ではなかった。彼が個人的にどう感じていたかはわからない。
だから、彼がなぜ去ったのかその理由は想像するしかない。きっと彼は、プロレスや人生全体において、自分がもっと幸福になるにはどうしたら良いかを探るために、契約を終了させたんじゃないかと俺は思ってるよ。
不幸や惨めさは、人を破滅させる。精神的、感情的、肉体的に大きな負担がかかるし、何か事をなそうとしている時にそんな気持ちになったら、悪いことしか起こらない。
プロレス業界でアルコール、薬、ドラッグなどがきっかけでひどいことにつながるのを見てきた。プロレス界ではそれが横行してしまっている。
俺たちがやろうとしたことは、プロレスにとって非常にポジティブなことであり、常にポジティブなものを生み出すことが目標だったのに、そのようなことが起こるのは本当に嫌なんだ。
バックスと俺は、ビンス(・マクマホン)やWWEと戦争するつもりはなかった。
俺たちはただ、俺たちのストーリーテリングとプロレスのスタイルを活かすことができて、ファンに選択肢を与えられるようなプラットフォームを持ちたかっただけなんだ。
コーディが自分のやり方で物事を進めたとき、俺はそれをどうフォローしたらいいのか分からなかったし、あまり興味もなかったように思うんだ。
俺には俺の、バックスにはバックスの、コーディの思う「コーディーバース」が存在していて、それぞれ自分のやりたいことをやっている。そして、トニー(カーン)にもやっているものがある。
最終的にはファンも知っているように、AEWは基本的にトニーのショーだ。
もちろん彼は俺たちのアドバイスに耳を傾け、俺たちの提案を心に留めてくれているだろうけど、AEWはトニーのもの、トニーの子供だ。
俺たちはできる限りそれをサポートするために副社長という立場にいる。
このバージョンのAEWはコーディには合わなかったという可能性が高いんだろうね。
俺にとっては彼はオリジナルの4人のメンバーのうちの1人であるし、常に彼のための場所があるように感じているよ。
サミー(ゲバラ)とのラダーマッチで見たとおり、コーディは信じられないほどのユーティリティを持っている。そして、若いタレントを助けることができる。リング上の活躍の観点からはまったく問題はないだろうね。
もし明確な答えがあるのなら教えてあげたいけど、俺にはわからないし、彼がどうするにしても…ああ、そういえば彼はサウジアラビアに飛ぶと聞いたよ(笑)
もしそれが彼の幸せなら、それはそれで幸せなんだとしか言いようがないね。
(※注 コーディのAEW退団が決まった当時、WWEがサウジアラビアで開催する特番に出場するんじゃないかという噂が流れていました。結局サウジアラビア大会には参戦しませんでしたが…!)
繰り返すけど、バックスと俺は別にWWEと戦争がしたくてAEWに参加したわけじゃない。
WWEで活躍するすべての選手、WWEで頑張っている人たちの幸せを願っているよ。
自身の考える「引退後のキャリアについて」
特に今はすべての物事が壊れやすく、どのような結末を迎えるか分からない。だから引退後のことはいつも考えているよ。
怪我をしたら終わりかもしれない。手術がうまくいかないかもしれない。「リングの上でなりたい自分になることはできない」と悪い知らせを受けとるかもしれない。
デジタルがすべてハッキングされ、異星人が現れ、外に出られなくなる。そんなことが起こるかもしれない。
物事が終わる瞬間は俺たちがコントロールできるものじゃないよ。申し訳ないが、AEWは「物」じゃない。プロレスは「物」じゃないんだ。それに対して俺に何ができるんだって話だよ
エージェントの経験から多くを得ることができたよ。とても楽しい仕事だ。
たぶんドージョーやスクールを持つことはないかな。そういうものをやるには俺はちょっと怠け者すぎる。でも、誰かを指導したり、アドバイスしたり、試合を組んだりすることはとてもやりがいを感じるよ。
もし俺が現役を終えた後、プロレスでそういった機会に恵まれたらきっと幸せになれると思う。
他にも興味はある。ゲームのコミュニティで働くのも好きだし、アニメやそういうものに関わるのも好きだ。もし携われるチャンスがあるなら最高だね。そういったものを探求できるのは素晴らしいことだと思うよ。
プロレスは、たとえポッドキャストに出演して自分の見解を述べるだけの男になったとしても、いつかは必ず俺の人生の一部となってくれるはずだよ。
自分の意見を持ってそれについて話すのが好きだから、オファーが来たら断ることはないだろうね。
プロレスは常に自分の一部だと思ってる。プロレスに何かを与えたりお返しできるものがあるなら、ぜひやらせてもらいたいね。
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