ケニー・オメガ、2021年PWI1位を語る(前編)〜PWI一位についての想い、新日本プロレスへの感謝〜

アメリカのプロレス雑誌『プロレスリング・イラストレーテッド』が毎年発表している、その年のプロレスラーベスト500を決めるランキング『PWI 500』

今年一位を獲得したのは、AEW・インパクト・AAAの世界王座三冠王を達成したケニー・オメガでした!
2018年以来、ケニーの一位獲得はこれで2度目となります。

そんなケニー・オメガですが、プロレスリング・イラストレーテッドのポッドキャストに出演し、一位を獲得した心境を語りました。

https://www.podbean.com/media/share/pb-ski6q-10d5a7e


インタビュアー:今回で2度目となるPWI一位を勝ち取った男の登場だ。ケニー、おめでとう!

ケニー:本当にありがとう。光栄だ。まさか再び一位になれるなんて信じられないよ。

インタビュアー:2018年の受賞時と比べると君のキャリアは大きく変わったね。あの年の一位のベースとなったのは新日本プロレスでの活躍だ。オカダとの試合やIWGPヘビー級王者の獲得を含め多くの偉業を成し遂げた。

今の君は副社長という立場に加えてAEW・インパクト・AAAという3つの異なる団体で最高王者になるという役割を担った。前回の一位と今回の一位を比較してどうかな?

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ケニー:比較するのがとても難しいね。最初に一位を取った時だけど、
まさか新日本プロレスのレスラーが…特に自分の様な日本にいる外人レスラーが一位を取るなんて夢にも思わなかったよ。

WWEのスターの様に既に世界中で認知されている選手もたくさんいるし、PWIの読者の多くは北米のファンだ。だから一位を取ったと聞いた時は、日本の外でもでもこんなに大きなスケールで自分が認知されている事がわかってびっくりしたよ。

確かにSNSでのファンの反応や、アメリカやイギリスやカナダなどで新日本の大会を行ったときの観客のリアクションから確かに手ごたえは感じていた。​でもそれがまさか一位を獲得するレベルに達していたとは…驚くしかなかった。

驚くと共に謙虚な気持ちにさせられたのを覚えてる。今もその気持ちは変わらない。新日本で、あんなに素晴らしい選手やスタッフと一緒に様々な素晴らしい事を成し遂げられた事に、ただただ感謝するばかりだよ。

あの時は最高の選手になれるよう全力を尽くしていた。俺の周りにはそれを実現するだけの材料も揃っていたしね。今思い返してもあの年は俺のキャリアの中でもストロングな一年だったかもしれないな。

一年を通して心身共に充実していたし、少しでも気を抜いたらポジションを追い抜かされてしまいそうなぐらいの世界中のハイレベルな選手たちと戦う事で自分の限界を超える事も出来た。特に運が良い事に、新日本は自社の選手だけじゃなくて外国の素晴らしい選手たちとも戦う機会を与えてくれた。

俺は本当に運が良かった。あの年のPWI一位については戦ってきた相手みんなと一緒に分かち合いたい気持ちだ。

もしオカダ、石井、内藤、飯伏、棚橋をはじめ、多くの対戦相手がいなかったらはたしてどうなっていたことか…
戦ってきた相手が俺のベストを引き出してくれて、そして俺自身も相手のベストを引き出す一助になれたからこそ獲得できた一位だからね。

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そして今だ。今までのキャラクターを一新し、アメリカのTV番組向けにプロレスをすることになった。

正直に言えば、今年は俺の強みをまったく発揮できなかった。だからこそ、キャリアの中で最もいろいろなチャレンジをした年になったんだと思う。俺はいつだってベストを尽くしたい。いつだって最も挑戦的なことに挑んでいき、そこから学びを得て最高の存在になりたいんだ

ああ、確かに俺は競争が好きだ。
ただ、自分が最高の存在であるとアピールするのは好きじゃない。自分が最高の存在じゃないってことを受け入れることも別に苦じゃないよ。
でも、みんなが自分に期待を寄せてくれているのなら、俺は絶対にその期待を裏切りたくないんだ。

だから、チャンピオンだったり、メインイベントだったり、みんなが期待するけど俺にとって苦手だったりまだまだ経験が浅いようなポジションに置かれても俺は全力を尽くす。
メインイベント級の価値を求めてお金を使ってくれたり貴重な時間を費やしてくれる会場のファンや世界中のファンの期待は裏切れないからね。

ここでも運が良かったと感じるんだ。今年も世界中の素晴らしい選手と戦うことができたけど、その中には馴染みのない選手もたくさんいた。

それに今年は色々な制限を感じたよ。TVコマーシャルや番組の時間を意識して試合をしなきゃいけなかったり、コロナ時代の影響で無観客で試合をすることもあった。
長時間のシングルマッチには慣れていたつもりだったけどそれでも苦労した。

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例えば、ライトアウトマッチや電流爆破デスマッチだったり、メキシコの六角形のリングの中でルチャドールルールでプロレスだったり。
今までとは状況が一変していた。もしかしたら今まで積み上げてきたものが全てが台無しになっていたかもしれない。そう思うと怖いね。

今年は目の前にあるものを全て利用して最善を尽くしてきたつもりだ。新日本と同じように、AEWやインパクト・レスリングにも評価に値する素晴らしいレスラーが沢山集まていたからね。
ファンには今まで知られてなかったけど評価の高かったレイ・フェニックスやペンタ・セロ・ミエドのような世界中の選手たちを巻き込んで、ベストを尽くすだけじゃなく今までにない挑戦をすることができたんだ。

2018年のPWIで1位に到達するのは難しかったけど、その年は完全に自分の強みを発揮することができたと思う。評価された試合は全部俺の得意分野だったし最も得意とする試合形式だったしね。

俺は新日本プロレススタイルのメインイベントマッチが一番得意なんだ。

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一番しっくりくるスタイルだ。体力的に厳しい?負担が大きい?辛い?そうだね。
でも、俺が本当に得意とするスタイルを1つ挙げるとすれば、それは「新日本スタイル」だ。

そして、今年はそんな自分の殻を破ることができた。自分のコンフォートゾーンから一歩踏み出すことができたんだ。

素晴らしいと思うのは、今年の活躍は俺が独走したとは思えないことだね。
俺が圧倒的な一位だったなんて思ってないよ。今年が特に素晴らしいと思うのは、一位になるべき選手が複数いて、全員に納得できる理由があったことだ。

不運な怪我がなかったら一位はウィル・オスプレイだったと思っている。もしかしたら、鷹木信悟が一位を獲得したかもしれない。ローマン・レインズが一位をとってもおかしくなかった。

誰もが大変な一年を過ごしたんだ。だから、みんなの思う一位の選手が今年の一位なのかもしれないね。俺はそれで満足だよ。

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でも今年は本当にタフな一年だった。色々学ぶことも多かったし、きっと一生忘れることはない。とにかくファンのみんなや、いろいろなこと実現してくれた全ての人、そして共に働く仲間に感謝したい。今年はみんなにとって困難な年だったが、ポジティブに進むことができたよ。

中編に続く

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