2023年1月21日に横浜アリーナで行われた新日本プロレスとNOAHの対抗戦。
この大会の目玉であった内藤哲也率いる「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」と拳王率いる「金剛」によるユニット同士のシングル5番は、お互い2勝2敗の膠着状態でメインイベントを迎えることに。
決着はそれぞれのユニットリーダーである内藤と拳王の直接勝負に委ねられることとなりました。
内藤の独特のリズムに翻弄されつつも得意の打撃で試合をリードしていた拳王でしたが、試合終盤に内藤の放ったカウンターのデスティーノで一気に形勢を逆転され、その後バレンティア→デスティーノのコンボで惜しくも試合に敗れてしまいました。
試合後リングに倒れ伏す拳王を無理やり立たせた内藤。自分をバカにしてきた拳王をコケにするのかと思いきや、なんと拳王に対し拳を突き出すポーズを見せグータッチを要求しました。
グータッチをするか葛藤していた拳王でしたが、思い悩んだ末グータッチを拒否。そのまま内藤の締めのマイクを背にリングを後にしました。
その試合終了直後、自身のYouTubeチャンネル「拳王チャンネル」で生配信を行った拳王。配信の中で今回の内藤との試合ついての今の心情を語りました。
会場の入り口で座り込む拳王を直撃する拳王チャンネルスタッフ。
拳王は「あれだけ偉そうに『プロレス界の序列を変える』『プロレス界一人気ユニットであるロスインゴのリーダーである内藤を倒す』と言ってたけど、負けちまった。本当にすまん」と、自分を応援してくれていたファンに今回の敗戦を謝罪しました。
スタッフに素晴らしい試合だったと賞賛の言葉を受けるも拳王は
「素晴らしい試合なんて関係ねぇんだよ。ここはやっぱり倒さないと。団体の対抗戦、しかも2・2で回ってきたのにそれで負けたんでしょ?本当にすまないね」と語るなど、今回の敗戦のショックはやはり大きいようです。
また、今日戦った内藤の印象について「日本のトップのユニットのリーダー、トップのレスラーの凄みを悔しいけど感じてしまったね」と素直に内藤を賞賛するコメントも出していました。
ここで気になってくるのが、試合後の内藤からのグータッチを拒否した拳王の胸の内。
拳王チャンネルのスタッフも、あれは内藤なりの賞賛・握手の意味があったと考察していましたが、それについても拳王は本心で答えてくれました。非常に興味深い一言と共に。
「この試合に臨むまでに色々あった中で倒す倒すと言ってきたけど、内藤哲也を認めてるからこそ倒そうと思っている部分があった」
「認めているからこそ対戦を挑んだが、半月ぐらいあったけど(今回の戦いを通して)より内藤哲也を認めたから、握手だったらしてもいいかなぁと一瞬思ったんだよ、あの時点で。頭もフラフラでさ。でも、悔しすぎてできなかったね」
「アイツがなんでああ(拳を突き出すポーズ)やったのか。『俺達と一緒に戦おう』なのか『今日はありがとうなのか』その意味は分からない。
ただ、アイツが今後俺達と戦いたいんだったら、いつでも戦ってやるよ。
もしくは、アイツが俺達と一緒に組みたいんだったら…いつでも組んでやるよ。
もしアイツが本当に求めているなら、組んでやってもいいよ。
それが今日横浜アリーナのメインで戦って、そういう会話ができたのかもな。
でも、やはり今でも内藤哲也を倒さないといけないとは思うよね」
プロレス界には、ライバル同士のまさかの合体は付き物。殺し合い一歩手前の壮絶な戦いをしていた選手同士が手を組んで、勢力図を塗り替えるなんて光景はなんら珍しいものではありません。
特にLIJと金剛はそれぞれの団体の中でもトップクラスの人気ユニットです。
仮に二つのユニットが手を組めば、拳王の語る「プロレス界の序列を変える」一大事件になることは間違いないでしょう。
今回の抗争の中でも、内藤を罵りつつもどこかリスペクトを見せていた拳王。次に2人が交わる時は、もしかすると同じコーナーに立つかもしれませんね。