「ベストバウトマシーン」の異名を持つケニー・オメガ。
オカダ・カズチカと時間無制限3本勝負で壮絶な死闘を見せることもあれば、矢野通との試合でテーピングで足を雁字搦めにされ「オメガ・マーメイド」状態になるという観客の笑いを誘う戦いもできるという振れ幅があるのがケニーの強みです。
ファンの記憶に残る試合を多く生み出してきたその秘訣はいったい何なのか?
ルネ・パケットのポッドキャストRenee Paquette on The Sesに出演したケニーが、自身の試合がヒーロー物のアニメ、特にバットマンのシリーズから大きく影響を受けた事を明かしました。
ケニー・オメガ
大きな試合になると30分から50分、長いと1時間くらいかかるけど、だいたいは20分くらいの試合が多い。
どう勉強したらいいかを考えたんだ。どうやったら自分を高められるだろうか?自分の周りに何かそのヒントはないかって?
そこから、週間で放送するアニメ…特にスーパーヒーローもののアニメから色々と勉強するようになったんだ。
そういうアニメは1話約21分。起承転結がハッキリしている。ヒーローは何かしらの危険にさらされるし、毎週新しい悪役(ヴィラン)が登場する。
でも、例えばバットマンが毎週ジョーカーと戦うわけにもいかない。いつもそんなシリアスな展開になるとは限らないからね。毎回「大変だ、この瞬間世界が終わるかもしれない」なんて深刻な展開になることはないだろう?
バットマンはリドラーと戦うこともあれば、Mr.フリーズやクレイフェイスとか、いろんなヴィランと戦っていくんだ。
(※注 リドラー、Mr.フリーズ、クレイフェイスはそれぞれバットマンに登場するヴィランです)
さぁ、どうやってこういった戦いを実現させようか?どんな風にしたら対決を面白くすることができる?どんなことをすればこの戦いに意味があるように感じさせることができる?そして、そういった戦いにどうやって違いを持たせていくのか。
どんな状況でも、時には違った感情を人から引き出すことができるはずなんだ。
だから、バットマンのアニメやジャスティス・リーグは、試合について研究する上でとても役にたったと言えるね。
身体能力の部分がフォーカスされがちですが、ケニー・オメガという選手の真の魅力はストーリーテリング能力の高さにあると思っています。
過去のインタビューの中でも「例え前哨戦のタッグマッチでも、同じ相手とのシングルマッチの再戦であっても絶対に同じ試合はしたくない」と語っているほど、ケニーはそれぞれの試合に意味と違いを持たせることを重要視している選手です。
そのストーリーテリングのルーツが、ケニーの好きなアニメやゲームから来ているというのは非常に納得ができますね。
新日本プロレスの中でも、試合中の表現力が高いと言われている棚橋弘至は仮面ライダー、エル・デスペラードやグレート・オーカーンはアニメ好きを公言しており、短い時間の中で観客の心を動かす術をプロレス以外からも取り入れているんじゃないかと個人的に感じています。
嬉しいことにケニーは今IWGP USヘビー級王者です。かつて戦った棚橋はもちろんですが、デスペラードやオーカーンとのオタクの知識をフル活用したエモーショナルな抗争がぜひ見てみたいです!!