クリス・ジェリコ「鼻を骨折しても、身体が動かせて、息ができて、目が見えるならそれも仕事のうち」

AEWの特筆すべき部分として挙げられるのは、今時で珍しいぐらい大流血上等のデスマッチが繰り広げられることです。

世界最大のプロレス団体であるWWEは、規制により選手が流血するシーンは皆無です。

新日本プロレスでもアクシデントで流血が起こることがあっても、選手が血だらけになることは極まれです。

HIROSHI全力

(かつてジェリコに襲撃された内藤が、えげつないレベルの大流血を見せたことが忘れられません)

対してAEWは流血を試合のスパイスとして大いに活用しています。
先日もクリス・ジェリコがエディ・キングストンと有刺鉄線デスマッチを行い、激しい死闘を繰り広げました。

相変わらず全力で身体を張るクリス・ジェリコ。見てるだけで痛ぇ…
https://twitter.com/IAmJericho/status/1550504803482144769?s=20&t=KtZI1ewcOlj1z0-_PPEUAA
番組終了後の一幕。もちろん痛みはあるのでしょうが、このリアクションはさすがの一言。

ただ、有刺鉄線ではなく試合中のアクシデントにより、鼻を負傷することになってしまいました。

当初は骨折したと言われていましたが、幸い軽傷で済んだようで今も番組の出演を続けています。

パイプ椅子のアクシデントはミック・フォーリーを思い出します
軽傷ですんで本当に良かった…

毎週のように激しい試合が見られることはAEWの大きなアピールポイントだと思います。

ただ、今回の試合のような凶器や大流血上等なハードコアマッチが連発されることについては、日米問わず賛否両論な印象を受けます。
(流血はプロレスに欠かせない要素の一つと思っているので、個人的に大歓迎なのですが…)

先日ComicBookのインタビューに登場したジェリコは、有刺鉄線デスマッチのような試合がなぜプロレスにとって良いことなのかについて語りました。


クリス・ジェリコ:

(有刺鉄線デスマッチは)『くそっ、死ぬほど痛てぇ』と思ったよ。

ただ、今回のような試合はプロレスビジネスにとって良いことだろう。
なぜなら、プロレスは楽しいだけのゲームじゃないを人々に知ってもらうことができるからだ。

「プロレスなんて本物じゃない、どうせ本気で殴り合ったりしない」と思っていたら、椅子の脚で鼻を殴られる事になった。

見てわかるようにただの事故なんだけど、鼻に当たったときは絶対折れてると思ったよ。

でも、思ってたほど酷くはなくてね。むしろヒビが入ったとか軟骨に影響があったとかその程度さ。

それでも、リング上で動くことができて、息ができて、目が見えるっていうならそれも仕事のうちさ。

テレビ的に取れ高なのは間違いないし、長い目で見れば商売になるだろうからな。

まぁ、次の日は死ぬほど嫌な気分になるのは間違いないけどね。


「プロレスはただやらせ」「あんなのガチじゃない」と、プロレスが揶揄されることは残念ながら珍しくありません。
プロレスファンですらイラっと来るのですから、実際に身体を張っているレスラーの心境たるや…

今回に近い内容として、以前のインタビューでもプロレスラーの試合中のミスをあざ笑うファンの事を一喝しました。

プロレスラーとしてのプロフェッショナル意識が強いジェリコとしては、プロレスを軽んじられることが何よりも許せないのでしょう。

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それにしても、51歳にしてプロレス界の最前線を突っ走るクリス・ジェリコには尊敬しかありません。

AEWでは常に話題の中心であり続け、ハードコアマッチからコメディーマッチまで自分のやりたいであろう試合を幅広くこなし、時には他団体(新日本)に赴き誰も予想だにしない展開を巻き起こす。

更に、プロレス以外ではロックバンド『Fozzy』のボーカリストとして、ロックンローラーとして世界中をツアーで駆け回る。

更に更に、自身のPODCAST番組「Talk is JERICHO」や各種インタビューでもちゃんと自分の言葉でファンに情報発信するんことを欠かさない。

自分が行う全ての物事についてエンタメ的観点とビジネス的観点をしっかり両立し、決してファンの期待を裏切らない男。
それがクリス・ジェリコです。

今プロレス界を生きるレスラーの中で最も「人生」を楽しんでいるのは、もしかするとジェリコなのかもしれませんねw

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